診療内容MEDICAL

頭痛外来

Headache Outpatient Clinic

頭痛には検査をしても原因が見つからない一次性頭痛と検査によって原因が特定される二次性頭痛に分類されます。一次性頭痛としては、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛等が挙げられます。二次性頭痛には、脳出血やくも膜下出血、脳動脈解離、低髄液圧症候群等が挙げられます。
頭痛外来では問診により頭痛の性状を詳細に確認し、その上でそれぞれの頭痛に必要な検査および治療を行います。頭痛の性状や種類、特に二次性頭痛の多くは入院が必要なため、適切な専門医療機関と連携して治療にあたります。

片頭痛について

片頭痛は重症化すると仕事や家事に支障を来します。そのため日常生活上の支障を抱えながら過ごす負担はさまざまな病気の中で2番目に大きいといわれています。日本頭痛学会が 2005 年にまとめた「京都頭痛宣言」では,片頭痛発作により毎日 60 万人の日本人が苦痛を感じ,人間らしい生活を妨げられているとされ,片頭痛による生産性低下による日本経済への損失は年間 2,880 億円と試算されています。そのため片頭痛は適切に診断し治療介入を行う必要がある病気と言えます

片頭痛の症状について

片頭痛発作は「ズキズキ」「ガンガン」と脈打つような強い痛みが引き起こされます。身体を動かすと痛みが悪化し、光、音、においに敏感になるのが特徴です。また頭痛時に吐き気や嘔吐などを伴うこともあります。頭の片側だけが痛いとは限らず、両側が痛むこともあります。また、めまいや、肩やくびのこりも関係しており、「肩こりが原因だと思っていた頭痛が、実は片頭痛だった」ということもよくあります。
片頭痛は頭痛だけでなく、頭痛のない時期(発作間欠期)にも不快感、倦怠感、集中力低下等の症状を呈すことがあるため、日々の生活にさまざまな影響をきたします。
片頭痛の周期は様々で月1~2回程度の人もいれば月10回前後になる人もいます。
片頭痛は、ストレスまたはストレスからの開放、寝不足、寝すぎ、飲酒、天候や月経前後などにより誘発されます

片頭痛の治療について

片頭痛治療は①頭痛発作時の急性期治療と➁頭痛頻度を抑える予防療法の2本柱となります。
患者様には治療にあたり頭痛記録(頭痛ダイアリー)の記載をお願いしており、その記録をもとに患者様個々のライフスタイルに合わせた治療薬の提案をさせて頂きます。
急性期治療においては、トリプタン製剤やラスミジタン、NSAIDsなどを使用します。
予防療法においては、経口内服薬(トリプタノール、ミグシス、インデラルetc)と注射薬(CGRP製剤:エムガルティ、アジョビ、アイモビーク)を使用し治療にあたります。初回治療においては経口内服薬の予防薬から開始し、発作頻度の改善が見られない場合には患者様と相談し注射薬の導入を検討します。特にこのCGRP製剤は2021年に発売され有意な片頭痛改善効果が示されており、実臨床においても、急性期治療薬を飲まなくても日常生活が送れるようになった患者様が多くいらっしゃいます
 

最期に・・・

片頭痛治療は飛躍的に進歩しており、先述の新薬(CGRP製剤:エムガルティ、アジョビ、アイモビーク)の登場により多くの片頭痛患者さんにとっての福音となっています。
しかし一方で社会からは『ただの症状としての痛み』という誤解を受けることが多く、患者さんの周囲から正しくその辛さを理解されづらい環境です。また患者さん自身も「我慢があたりまえ」と考えがちとなってしまい、適切に治療を受けきれていない患者さんも多くいらっしゃいます。
上述の通り片頭痛の症状は発作時の頭痛だけではなく、発作間欠期の症状も日常生活に十分に支障を来し得ます。頭痛により日常生活に支障を来しお悩みの場合は、お気軽にご相談ください

頭痛の診断と種類

頭痛は大きく分けて一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。
一次性頭痛の特徴
片頭痛
頭痛を訴えてクリニックを受診する患者さんの中で最も多いタイプが片頭痛です。片頭痛の文字を見ると片側だけが痛むように思えるかもしれませんが、両側同時に痛むこともめずらしくありません。
強い頭痛のため寝込んで仕事や学校を休むなど社会生活に悪影響を及ぼします。また、痛みだけでなく、悪心・嘔吐、音・光・におい過敏、めまいなどの症状も日常生活に支障をきたします。
緊張型頭痛
筋肉が働きっぱなしになって持続的に収縮していると筋肉の中を走っている血管が押しつぶされてしまいます。血管がつぶれた状態が続くと血流が減ります。そうなると血液からの栄養源のブドウ糖と酸素が少なくなるので筋肉には疲労物質である乳酸のカスがたまっていきます。これは、酸であるため、周囲の組織を刺激して痛みが出る、これが緊張型頭痛の原因と考えられています。
人間の腕は足の様な強固な関節を胴体と作っていないため、腕は僧帽筋と肩甲挙筋という筋肉で首から吊り下げられているだけです。
これらの筋肉は腕の重さを支えるためにいつも働いています。だからいつも乳酸がたまって痛くなります。これが肩こりの原因です。
寝ると翌朝には改善するのは、寝ている間に首と肩の筋肉が休んで筋肉の収縮が和らいだため、血流が再開して乳酸がたまらなくなったからです。
群発頭痛
片側の眼の周りや眼の上、側頭部に目をえぐられるような非常に強い頭痛が出現して15分から3時間ほど持続します。頭痛と同じ側の目が充血して赤くなったり、涙や鼻水がでたり、顔がほてって汗をかく、瞳孔が縮んでまぶたが下がるなどの自律神経が障害された症状を伴います。痛いときにスマホで顔の写真を撮って持ってきてもらうとすぐに診断できます。片頭痛が暗いところで動かずに痛くなるのと対照的に患者さんは痛くてじっとしていられないので落ち着かずに興奮して歩き回ります。
男性に多く、発作に発作期・寛解期という周期性があるのも特徴的です。種々の薬剤や酸素の投与など組み合わせて治療します。
持続性片側頭痛
頭部の片側に中等度以上の頭痛が持続して、同じ側の自律神経症状を伴うこと、インドメタシンが非常によく効くのが特徴です。自律神経症状としては結膜充血、涙を流す、鼻づまり、鼻水、まぶたが下がる、瞳孔が縮むなどの他にも、顔がほてって赤くなる、発汗、眼のかゆみ、などさまざまなものがあります。また、頭痛の増悪に伴って興奮状態や落ち着きの無さがみられるのも特徴です。
薬剤乱用頭痛
片頭痛や緊張型頭痛の患者さんが頭痛治療薬を3か月以上定期的に乱用した結果、頭痛の頻度や持続時間がかえって増加して慢性的に頭痛がおきる状態です。頭痛治療薬を1か月に10日以上使用した場合に起こります。
慢性関節リウマチの患者さんが鎮痛剤を大量に使用しても頭痛発生が問題になることはないため、片頭痛や緊張性頭痛の病態そのものがMOHを引き起こす素因になると考えられています。群発頭痛で起こることはまれです。
少し難しくなりますが、大切なことなので詳しく説明します。MOHの発生機序は確立されているわけではありませんが、トリプタンによる5-HT受容体の慢性的な刺激が受容体の感受性を低下させるようになるdownregulationを引き起こすことが知られています。また、トリプタンによりMOHでは、血液脳関門を通過しないスマトリプタンよりも、血液脳関門透過性の高いゾルミトリプタンやリザトリプタンの方が、MOHの成立が早いことが知られています。薬剤による中枢性の受容体発現や受容体機能発現機構の変調がMOHの発症に重要な因子であることが推測されています。
治療としては、予防薬の内服を中心にして、頭痛薬を数日間中止することです。非常につらいのですが、何とか頭痛をこらえて薬の内服を2日間以上我慢するとMOHのコントロールができるようになってきます。この壁を乗り越えるまで私たちと一緒に頑張りましょう。
二次性頭痛の特徴
頭痛(headache,cephalalgia)といっても、命が脅かされるような危険な頭痛から、そうでないものまで多種多様です。頭痛は脳に異常がない一次性頭痛と脳に異常があっておきる二次性頭痛の2つに分類されます。

一次性頭痛は数年以上前から同じような頭痛を繰り返している慢性頭痛(いわゆる頭痛持ちの頭痛)で、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛がその代表です。命には別状ありませんが、日常生活に支障が出るなど困った頭痛です。

二次性頭痛は急におこった頭痛で、これまでに経験がないひどい頭痛、突発して短時間でピークに達するような頭痛、熱がある、手足の麻痺やしびれを伴うような場合はくも膜下出血などの脳出血や髄膜炎などの可能性もあり注意が必要です。また、数週間のうちに悪化してくるような場合には脳腫瘍や慢性硬膜下血腫などの可能性もあります。二次性頭痛は緊急性が高く場合により命に係わる危険のある頭痛です。

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あいづ脳神経内科クリニック

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